離婚後に生じる問題一覧

私が亡くなったら、この子の親権はどうなるの?

 婚姻中の親権者は、夫婦共同ですが、離婚をすると、いずれかに決め、一方の親が単独親権者となります。

 では、未成年の子どもの養育をしてきた単独親権者が不幸にも亡くなると、子どもの親権はどうなるのでしょうか。

 

 子どもに関する契約手続等の法律行為や財産管理、身上監護などを行うのが親権者ですから、この親権者が亡くなると、子どものためにいろいろな手続を取ることが出来なくなります。

 だからといって、もう一方の生存している親の方に当然に親権が移るということはありません。

 

 未成年者の子どもに親権者がない場合に取り得る方法は、2つあります。

 一つは、一方の生存している親が親権者となるように、家庭裁判所に親権者変更の申立を行い、裁判所に許可をもらって親権者となる場合です。

 もう一つは、未成年の子どもに後見人を選任するように、家庭裁判所に未成年後見人選任の申立を行い、裁判所に未成年後見人の選任をしてもらう方法です。

 

 親権者変更は、残されたもう一方の親しか親権者になり得ません。

 このため、亡くなられた単独親権者のご両親(いわゆる祖父母)などが、子ども(いわゆる孫)の財産管理や身上監護の権利を得たいとするならば、未成年後見人候補者として未成年後見の申立をするしかありません。

 

 このような形で、子どもの親権者又は未成年後見人が決まりますが、親権者と未成年後見人は、事実上、その権限や義務の範囲は、同一のものです。

 

 なお、単独親権者が、万一、自分が亡くなった場合のために、生前に出来得ることがあります。

 それは、遺言書で未成年後見人の指定をすることです。

 これにより、家庭裁判所に選任申立することなく、未成年後見人に就任することができます。

 この場合、未成年後見人になる者は、就職した日(単独親権者の死亡した日)から10日以内に、市町村に届出を行い、戸籍に未成年後見人の記載をしてもらう必要があります。

 

2017年10月11日

離婚後の氏をどうするか?子どもの氏は?

 婚姻している夫婦が離婚をした場合、戸籍や姓はどうなるかといった問題は、オーソドックスな話題ですが、離婚された経験のある方でないと、意外に知らないものなのかもしれません。


 まず、夫婦になる際、夫婦としての新戸籍を編製しますが、現行民法では、夫婦のいずれかが、もう一方の姓を名乗ることとなり、その姓の戸籍が作成されます。

 

 逆に離婚するとどうなるかですが、新戸籍編成後も婚姻前の姓のままの当事者は、戸籍に残ることになります。
 これに対し、婚姻により姓を変更した当事者は、戸籍から除籍され、前の戸籍に戻るのですが、新戸籍を編製することも出来ます。

 また、離婚に伴い、婚姻前の姓に戻るのが原則ですが(復氏)、離婚から3か月以内に婚氏続称の届出をすることによって、婚姻時の姓を使い続けることが出来ます。通常は、離婚届を出される際に、婚氏続称の届出を併せてする方が多いのではないでしょうか。

 ただし、婚氏続称の場合は、姓が父母と異なることになりますから、前の戸籍が父母を筆頭者とする戸籍であれば、これに戻らず、新たな戸籍を編製することになります。


 夫婦に子どもがいる場合はどうなるかですが、少し手間がかかる場合があります。
 離婚しただけでは、子どもは、従前の戸籍に残り続けますし、姓も変わらないからです。
 更にややこしい話ですが、婚氏続称を選択していても、「続称する姓」は「婚姻中の姓」とは、法律上、姓が違うということになっています。
 したがって、婚姻によって姓を変更した当事者が未成年の子どもの親権者にもなっているとした事例では、離婚に伴い、親権者と子どもが別の戸籍に存在する状態になります。


 子どもを自分の戸籍に入れるにはどうするかですが、管轄する家庭裁判所に、「子の氏の変更許可」の申立を行い、許可を得て、役所に届出をする必要があります。
 なお、自らが従前の戸籍に戻ったとしても、筆頭者が自らでなく、父母の場合、子どもをこの戸籍に入れることは出来ません。
 戸籍は親子単位で作成されるもので、3世代で構成されることは出来ないからです。
 このため、改めて自らの新戸籍を編製して、その戸籍に子供を入れるという流れになります。

2017年10月10日