私が亡くなったら、この子の親権はどうなるの?

 婚姻中の親権者は、夫婦共同ですが、離婚をすると、いずれかに決め、一方の親が単独親権者となります。

 では、未成年の子どもの養育をしてきた単独親権者が不幸にも亡くなると、子どもの親権はどうなるのでしょうか。

 

 子どもに関する契約手続等の法律行為や財産管理、身上監護などを行うのが親権者ですから、この親権者が亡くなると、子どものためにいろいろな手続を取ることが出来なくなります。

 だからといって、もう一方の生存している親の方に当然に親権が移るということはありません。

 

 未成年者の子どもに親権者がない場合に取り得る方法は、2つあります。

 一つは、一方の生存している親が親権者となるように、家庭裁判所に親権者変更の申立を行い、裁判所に許可をもらって親権者となる場合です。

 もう一つは、未成年の子どもに後見人を選任するように、家庭裁判所に未成年後見人選任の申立を行い、裁判所に未成年後見人の選任をしてもらう方法です。

 

 親権者変更は、残されたもう一方の親しか親権者になり得ません。

 このため、亡くなられた単独親権者のご両親(いわゆる祖父母)などが、子ども(いわゆる孫)の財産管理や身上監護の権利を得たいとするならば、未成年後見人候補者として未成年後見の申立をするしかありません。

 

 このような形で、子どもの親権者又は未成年後見人が決まりますが、親権者と未成年後見人は、事実上、その権限や義務の範囲は、同一のものです。

 

 なお、単独親権者が、万一、自分が亡くなった場合のために、生前に出来得ることがあります。

 それは、遺言書で未成年後見人の指定をすることです。

 これにより、家庭裁判所に選任申立することなく、未成年後見人に就任することができます。

 この場合、未成年後見人になる者は、就職した日(単独親権者の死亡した日)から10日以内に、市町村に届出を行い、戸籍に未成年後見人の記載をしてもらう必要があります。

 

2017年10月11日