子どもに会いたい!面会交流とは?
面会交流という言葉は、よく耳にされる方も多いと思います。
離婚すると、一方の親が親権者となり、子どもの監護養育をするのがほとんどですので、親権者でない一方の親は、子どもと一緒に過ごす時間が失われてしまいます。
このように、子どもと離れてしまう一方の親と子どもについて、親子間の交流を保つため、面会交流権というものが認められています。
面会交流については、まず、話合で決めることからスタートします。
離婚成立前であれば、離婚の諸条件と併せて話し合われています。
当事者間では話が出来ず、離婚に関する調停となれば、この調停の中でも、面会交流の話が含めて協議されます。
ただ、面会交流については、対立が生じて合意に至らない場合、裁判所の審判を仰ぎ、決着をつける必要が出てきます。
このため、離婚調停の中で併せて話合が出来るとしても、念のため、面会交流の調停を申し立てしておき、面会交流について、合意に至らない場合、審判してもらえるように備えておくことがよく行われています。
面会交流については、離婚成立前に具体的な話合がされておらず(大半は、協議離婚の場合だと思います。)、離婚成立後に問題となることがあり、離婚成立後に、面会交流の調停が起こされて話合が持たれるケースも散見されます。
面会交流を認めるか否かについては、現在の実務上、明らかにこどもの福祉を害しない限り、積極的に認めるべきであるとの考え方で、裁判所は判断しています。
親権者でない実の親と子どもが離婚後も交流を持つことは、人間の自然なつながりであり、子どもの今後の成長に対しても、有意義であるという発想によるものです。
したがって、親権者側の相手方に対する悪感情という理由程度では、相手方の求める面会交流を否定することが難しいことになります。
否定される場合とすれば、面会交流をすることになると、子どもの平穏な生活や精神的安定を揺るがして、健全な成長に悪影響を与えるおそれが強いという事情がある場合に限られるということになります。
一番わかりやすい例としては、子どもに暴力を振るう恐れが高いということで、過去の事実から強く懸念される場合になるでしょうか。
面会交流が認められる場合、その方法、頻度、場所等は、ケースバイケースとなっています。
面会交流を行うにあたっての離婚した夫婦の接触可能性、面会交流を行う当事者間の住居の距離、仕事の忙しさなどを考慮します。
話合で決められるなら、話合で定めますし、話合出来なければ、裁判所が審判します。
一般的な感じからすると、だいたい月1回の頻度が多いように感じます。
決められた面会交流には、義務者(親権者)側は従わなければいけませんが、面会交流の取り決めがなされても、不幸にも、子どもに会わせてもらえないというトラブルも生じます。
この場合、調停や審判によるものであれば、家庭裁判所を通じて履行を勧告してもらう方法があります。これは履行を勧告するだけなので、どこまで効果があるかはわかりません。
また、面会交流の履行義務に違反したということで、調停条項や審判に基づき、1回会わせないごとに、金○万円を支払えといった強制執行(間接強制と呼びます。)を行ったり、慰謝料の損害賠償請求を提起したりするという方法が考えられます。
子どもそのものと会わせることを強制出来ませんが、金銭的にプレッシャーをかける形で、履行を実現させる法制度となっています。