高額キャンセル料は争える?

 結婚式や披露宴を行うとなると、式場を予約したり、衣装をレンタルしたりする必要があり、諸費用が嵩んで高額になっていきます。

 実際に結婚式を執り行うところまでいけばいいのですが、何らかの事情で、申し込んだ側から解約せざるを得ないこともあります。

 この解約を行うにあたり、よく問題になるのが、キャンセル料です。

 

 結婚式場の予約に限らず、自動車売買、各種学校の授業料、冠婚葬祭の互助会契約などといったいろいろな取引において、契約を締結しますが、契約書の条項や約款の中で、解約に伴う多額のキャンセル料(違約金)が設定されていることがあります。

 

 万一、高額のキャンセル料を請求されることとなった場合、契約を締結した消費者は、契約書等に記載されているから、キャンセル料を支払わなければならないのでしょうか?

 

 

高額のキャンセル料には消費者契約法

 

 契約の当事者が、消費者と事業者である場合、消費者が事業者の食い物にされて被害を受けないよう、消費者を保護するための法律として、「消費者契約法」があります。

 キャンセル料(違約金)についても、消費者を保護するため、消費者契約法第9条1号は、次の規定を置いております。

 

「次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。
 一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分」

 

 条文そのものを見ると頭が痛くなってくるかもしれませんが、簡略に説明すると、契約で決められたキャンセル料の額について、その額がキャンセルによって事業者に生ずる平均的損害の額を超えるほど大きい場合、平均的損害を超える部分のキャンセル料の定めは無効になるということです。

 

 例えば、50万円のキャンセル料の定めがあったとして、そのキャンセルに伴う平均的損害が25万円であるとした場合、認められるキャンセル料は、25万円までで、消費者は、それ以上の額は支払わなくてよいということになります。

 

平均的損害がややこしい

 

 ただ、平均的損害というものが曲者です。

 消費者庁は、消費者契約法の逐条解説というものをホームページ上で公開していますが、これによると、消費者契約法第9条1号に言う「平均的損害」とは、次のように解説されています。

 

 「解除の事由、時期等により同一の区分に分類される複数の同種の契約の解除に伴い、当該事業者に生じる損害の額の平均値を意味するもので」、「消費者契約の当事者たる個々の事業者に生じる損害の額について、契約の類型ごとに合理的な算出根拠に基づき算定された平均値であり、当該業種における業界の水準を指すものではない。」

 

 平均的損害という言葉を聞くと、同種の業種における業界の一般的な平均値を示すのではないかと思われがちですが、そうではなく、契約の当事者である事業者そのものにおける損害額の平均値となっています。

 業界一般の平均値の方が消費者としては把握しやすいと思うのですが、そうではないのです。

 

 そして、平均的損害が幾らであるのかという点で、裁判における立証の義務者は消費者側とされています。

 このため、個別の事業者の平均的損害が幾らであるのかというのを消費者側で立証しなければなりませんが、事業者個別の事情が絡みますから、消費者にとって、平均的損害の立証にハードルが高い部分もあることには注意が必要です。

 

逸失利益まで含まれるのか

 

 なお、平均的損害の中に、実際に契約が解除されずに履行された場合に、事業者が得られたであろう利益(逸失利益)を含めてよいかという点についても、裁判上、肯定・否定と判断が分かれているところです。

 

 消費者としては、逸失利益を含めて欲しくないところですが、解釈が割れた現状も、消費者側にとって悩ましいところです。

 

まとめ

 

 そうは言っても、裁判において、実際に高額のキャンセル料の一部が無効にされた事案というのもありますので、高額のキャンセル料に対しては、まず、消費者契約法の適用を検討されるところから始めてみるとよいかと思います。

 

※消費者トラブルに関する別のブログは次のとおりとなります。 

 併せて、ご閲覧下さい。

 

「美容医療にもクーリングオフ適用へ」

 

 

2019年06月20日