B型肝炎訴訟、検査不足にご注意

 過去に行われた予防接種などによる注射針の回し打ちにより、B型肝炎ウイルスに罹患した方々を救済する手続として、国に対するB型肝炎訴訟を行い、一定の資料が整えば、和解により、慰謝料が給付され、定期検査等の手当が受けられるのは、ご存知の方も多いと思います。

 

 提訴される方の数に対して、国の応訴(裁判に対応すること)したり、調査したりする人員が足りず、提訴しても結果が出るには、1年先までかかるという現状については、「B型肝炎訴訟、国の対応遅延傾向」というブログでご紹介させて頂きました。

 

 このB型肝炎訴訟、提訴するには、被害に遭われた方がB型肝炎に罹患していることや、一次感染被害の場合、母親又は年長の兄姉がB型肝炎に罹患していないことを証明する検査結果資料の提出を求められます。

 

 

ポピュラーな指標、HBs抗原

 

 B型肝炎に罹患しているかどうかの検査で、最もポピュラーなのは、「HBs抗原」検査です。

 第一義的に、B型肝炎に罹患しているか否かを示すためには、「HBs抗原」が陽性か否かになります。

 被害者の方がB型肝炎に罹患していることを示すには、6か月間の期間を隔てた前後にいずれも「HBs抗原」陽性の検査結果が生じればよいこととなります(ただし、後記「HBc抗体高力価陽性」の場合も含まれます。)。

 

医療機関で検査し忘れがちなHBc抗体

 

 では、一次感染の場合、併せて提出が求められる母親又は年長の兄姉がB型肝炎でないとの証明は、「HBs抗原」陰性の検査結果でよいのかと言うと、実は、これだけでは足りません。

 この際の必要な検査結果は、「HBs抗原陰性」であることと、「HBc抗体陰性(又は低力価陽性)」であることが求められます。

 この「HBc抗体」の検査をし忘れていることが起こり得ます。

 

 一次感染被害者の方は、高齢の方も多いため、その母親や兄姉の年齢は、それ以上に高齢となります。

 過去にこれらの人が行った検査結果が残っていれば、それを示すことが出来ますが、そういうものがなく、今、検査をお願いするということになると、これらの方々が生存し健在かどうかというのが重要で、時間との闘いの部分もでてきます。

 HBc抗体の検査をし忘れていると、改めて、これをお願いしなければらなくなり、状況によっては、対象者の方が鬼籍に入ってしまっているかもしれません。

 

 したがって、最初に、医療機関に検査してもらう際には、検査方法、検査項目等を明確に指示して検査してもらう必要があり、弊所でも、そのようなペーパーを依頼者の方にお渡しし、医療機関に示してもらうような運用をしております。

 

HBc抗体の高力価、低力価とは

 

 「HBc抗体」については、低力価、高力価という指標があります。

 一般的に、CLIA法という検査手法を用いればわかりやすいのですが、「HBc抗体」検査結果の数値が10以上か否かで、高力価が陽性、低力価が陽性と区別されます。

 上記に「又は低力価陽性」との条件がありますとおり、仮に、母親、又は年長の兄姉の「HBc抗体」が単なる陽性であっても、低力価の陽性であれば、条件を満たすことになります。

 

被害者本人の持続感染は、HBc抗体高力価陽性でもよい

 

 上述したとおり、被害者本人は、提訴の要件として、B型肝炎に罹患していることを示す指標として第一に「HBs抗原」が用いられます。

 しかし、「HBs抗原」陰性であったとしても、6か月間の期間を隔てた前後にいずれも「HBc抗体」が高力価陽性であれば、持続感染アリとして、提訴の見込があるということになります。

 

 

※弊所では、着手金や実費等をお願いする形となりますが、B型肝炎訴訟も取り扱っております。

 資力に難のある方は、法テラスのご利用にも対応しております。

 検査はご本人にして頂くしかありませんが、訴訟だけでなく、その他の医療記録から戸籍等の書類の取り寄せなどの書類収集の面倒なところも弊所で行っております。

 

 

 

2018年05月22日